日本で流通している牛肉の6割は輸入牛肉です。
日本で食肉販売されている牛肉は、「和牛」「国産牛」「輸入牛」の3種類に分類できます。
●和牛…黒毛和牛種が95%
●国産牛 … もとは乳牛用のホルスタインとホルスタインと和牛をかけた交雑種
●輸入牛 … オーストラリアや米国から輸入している牛肉
日本で流通している牛肉の内訳は、
和牛と国産牛を合わせた国内生産の牛肉が4割、
オーストラリアやアメリカから輸入している牛肉が6割です。
輸入量はその年によっても違います。
輸入量と生産量をもう少し数字で細かく見ていくと
こんな感じです↓↓(グラフはH29年の輸入量です)
これは、H28年度の内訳です。
こんな感じでだいたい、6対4の割合で牛肉を輸入してるそうです。
どれぐらい牛肉を輸入するかというのは、社会情勢などで毎年推移します。
どんな感じで輸入量の変化があるかというと
こんな感じ↓↓
平成16年、平成17年はBSEの発生を受けて アメリカ産の牛肉の輸入が禁じられていましたが、最近ではどんどん輸入量が増え、年々オーストラリアに迫る勢いでアメリカ産の牛肉の輸入量が増えてきています。
一方国内生産の牛肉は、ジワジワとその数を減らしている感じです。
和牛の生産量が減っている理由
和牛の生産量が減っている理由としては、どうしても海外産の牛肉などと比べて割高になってしまうことが原因に上げられると思います。
H29年度の調査になりますが、牛肉の小売価格(かた肉、100gあたり)は
米国産292円に対して、
和牛は795円と2.5倍以上の差がついてしまいました。
2.5倍!!
そんなに違うんですね。
「和牛」は高級品で高いというイメージだと思います。
とても普段食べれない、特別な日のためのものというイメージです。
なんでこんなに和牛の値段が高くなるかというと理由はいろいろあります。
子牛の値段が高い!
繁殖農家の高齢化が進み子牛が少なくなっていて、子牛の値段が年々上がっているのも、肥育農家を苦しめている原因です。
繁殖農家も大変で、とても『種』つまり雄牛の精子の値段が高いのです。
必ず種付けできるとは限らないのに、『種』の値段が高くて、ほんとギャンブル感覚らしいです。高い種は4万とかすると聞いた事があります。
黒毛和牛の血統は、サラブレット並みに管理されていて、その血統から高品質の牛肉が取れると『種』の値段も跳ね上がります。
セリで普通に100万越えする子牛がたくさんいます。
牛のエサが高い!
ホルスタインなどの国産牛は、牧草をエサにして育てることもありますが、一般的には穀物肥育が行われています。
理由は、穀物を主とする飼料で育てたほうが、サシの入った肉質になりやすく、A5,A4など、ランクの高い肉になりやすいからです。
さらに、壱岐牛は特に牛のエサが完全に決められていて、多と比べてもとても割高なエサです。
そだてる手間がかかる!
和牛は育てるのに手間がかかります。
大きく育てるのに肥育期間が必要だからです。
長い期間牛を育てるということは、当然ですが多くのエサも必要ですし、牛舎の光熱費などの管理費、人件費などの費用が多くかかってしまいます。
いろいろと手間のかかる和牛は、牛肉の需要に見合う供給量が確保できないことも原因で、価格の高騰が続いています。
割に合わないから牧場を閉める、または、子供が跡を継ぎたがらないという事も供給量が確保できない原因でもあります。
『和牛』は日本の財産!
でも、『和牛』は日本の財産だと思います。
何世代もかかって多くの畜産農家が努力して品種改良され、JAも、いろんな関係団体も、個体識別番号とか、血統を守る努力とか、餌の改良をするとか、美味しい品種の種をつくり上げ、守り抜いてきた日本が世界に誇れる食文化の財産です。
輸入牛や、価格を抑えた国産牛が増えることはしょうがないことだと思いますが、これ以上和牛を減らさないように、肥育農家としても和牛を頑張って守っていきたいです。