壱岐牛、こやま牧場のはじまり
壱岐で生まれ育った牛は、島特有の潮風により適度な塩分を含む飼料を食べて育ち、ミネラル分豊富な肉質が柔らかく美味しく育つということで、島では昔から畜産業が盛んでした。
そんな壱岐の島に代々住む小山家の先代当主が、壱岐市郷ノ浦に繁殖農家として5頭の牛の飼育を始めたことが、現在のこやま牧場の始まりです。
当時は小山畜産という名前で、兼業農家として牛を育てていました。その小山畜産の後を継いだのが現在の牧場主、小山久志。
小山畜産はこやま牧場と名前を変え年々規模を拡大しています。
牧場の規模拡大の歴史
こやま牧場は平成4年、現牧場主が20歳の時に牛80頭が飼える牛舎を建て、本格的に牧場を始動しました。
牧場経営を始めた当初の1~2年は滑り出しも順調で、初めからA4以上の牛をたくさん出荷することが出来ましたが、牛の生産は、そんなに簡単なものではなく、その後、3年目ごろから、壱岐牛と認められるA3以上の牛を出荷できないというスランプに陥り、生産者として納得できる出荷が出来ないという苦難の日々が続きました。
壱岐で牛を育てるからには、壱岐牛として認められる最高級ランクの牛を育てたい。ですが、 霜降りの最高級の肉質の牛を育てるのは、ある種の職人技の様な熟練が必要で、一朝一夕では出来ません。
その苦難の日々に徹底的に牛を育てることを研究し、肥育部会員や組合飼料の指導を仰ぎ、エサの研究に没頭、育て方を試行錯誤しました。
謙虚な気持ちで、他所の壱岐島内や島外の牧場を視察したり、藁や濃厚飼料の配合を研究したり、牛を育てるということに向き合いました。
その苦難の日々のおかげで今のこやま牧場のスタイルにたどり着きました。
牝牛に特化し、牝牛しか出荷しない。
体重や霜降り具合にこだわるのではなく、肉の『味そのもの』にこだわるというスタイルです。
いくら、見た目が美しい霜降りの肉であっても、やはり肉は『味そのもの』が勝負です。肉の味そのものを良くするということを徹底して研究した結果、牧場の規模ももどんどん拡大することが出来、平成13年で二つ目の牛舎、平成20年に三つ目の牛舎を建てることが出来ました。今では200頭の牛を飼っています。
牧場としては、まだまだそんなに大きな牧場とは言えませんが、徹底した品質管理にこだわりたいので、今の段階ではこれが精いっぱいです。
こやま牧場の雌牛は脂に上品な甘み、旨味があり、ミネラル分豊富な肉質はくどくなく、霜降りなのにさっぱりと食べれます。
こやま牧場で育った牛を是非、醤油で味見してみてください。肉本来の甘味、旨味がはっきりとわかります。
関西の牛飼いの間では、牛の甘味を確かめるのに、しょうゆで食べて甘味を確かめる習慣があるそうです。そのため、こやま牧場で育った牛はタレの味が強い焼肉より、すき焼きで食べた時が一番おいしさがわかるのでお勧めです。
壱岐牛ブランドを守る壱岐牛生産者として
壱岐牛は壱岐牛組合により、生産した牛肉を『壱岐牛』と名乗るための定義ををあえて厳しくしました。
美味しさにこだわり、食べて頂く方に『壱岐牛は間違いなく美味しい』という信用を持ってもらうためです。
ですが、『壱岐牛』という名前を名乗るのにあまりに基準が厳しいのでコストがかかり、安く肉を生産出来ないという問題もあります。壱岐牛があまり世に出の中に多く出回らず希少なのはその厳しい基準があるからです。
壱岐牛は、他のブランド牛と違い、
『壱岐で生まれ壱岐で育ったこと』
『餌も一支国と言う餌を使う』
という厳しい規定があります。
『壱岐牛』を名乗るためには、子牛をよそに買い付けに行くことが出来ないのです。
壱岐で生まれた子牛は人気が高く28年度では全国高値順位5位と家畜市場で高値で取引されています。
壱岐牛の肥育農家も、高値で取引される壱岐の子牛を買わなくてはいけないので、壱岐生まれ壱岐育ちにこだわる事が、壱岐牛の価格を下げれない一番の原因です。
ですが、厳しい基準をクリアーしてるからこそ、『壱岐牛』と名乗れる肉は美味しさの保証にもなっていると言えます。
こやま牧場は、壱岐牛のブランドを守る肥育農家として、他の『壱岐牛』牧場とも力を合わせ、『壱岐牛ブランド』を広めていくということに使命感を持って取り組んでいます。