食肉は、出荷する時は生体として出荷しますが、と畜場でと畜解体され、枝肉としてセリに出します。
生体から精肉まで、大きく形態を変化させながら流通する牛肉ですが、
今日は、どのような過程を経て精肉になるのか、その時にどれぐらいの副産物が除去されるのか、どれぐらいの割合で残るのか(歩留)について解説します。
枝肉歩留とは
牛の生体はと畜されると解体されます。
まず、皮・内臓・頭部・血液等の副産物を除去し、
さらに左右を半分に切断して枝肉になります。
生体から枝肉になるまでの枝肉歩留は60%~65%程度です。
左右を半分に切断され枝肉となりますが、左右のいずれか半身のことを『半丸(はんまる)』とも言います。
この枝肉からさらに骨、脂肪などを除去して『部分肉』になります。
生体から部分肉になるまでには、約45%の重量になります。
枝肉から部分肉になるまでは72%程度が残り、この割合を部分肉歩留と言います。
部分肉から、さらに筋肉ごとに分解し、脂肪、すじなどを除去した小割の部位を切り身、スライス、ミンチにしたものが『精肉』と呼ばれます。
部分肉から80%が精肉として残ります。
例えば生体で690㎏あった牛の場合
皮、頭、内臓、血液などを取り除かれ
枝肉として残るのは435㎏
枝肉歩留が63%です。
435㎏ の枝肉が
骨、余剰脂肪、くず肉などを除かれ
部分肉として残るのは311㎏
生体からの割合は45%
311㎏ の部分肉は
さらにくず肉、脂肪、すじなどを取り除かれ
精肉として残るのは249㎏
生体からの割合は36%です。
つまり、690㎏の牛を一頭出荷しても、精肉として販売されるのは
690㎏のうち249㎏です。
64%は精肉以外の畜産副産物で
内臓はホルモンとして、皮は皮製品に、
油脂はラードやヘットとして食用にされるほか、石鹸や飼料などの原料にもなります。
畜産副産物も有効活用されていますが、
牛を出荷しても、壱岐牛の精肉として世の中に流通するのは、
牛の重量の36%程度なんです。
歩留をよくする工夫を常に考えています。
牛肉として食べられるのは、牛の体の筋肉にあたる部分です。
そのため、身体が大きくて太っているからといって、牛肉として食べられる部分が多いとは限りません。
余分な脂肪が皮膚の下にたくさんついていたり、体格ばかり大きくて痩せていたりすると、肉の量としては少なくなってしまいます。
そのため、牛を肥育するときには、ただ単にたくさん食べさせ太らせればよいのではありません。
お肉になる部分を上手に増やしながら、皮下脂肪のような余分な贅肉をつけさせないように、エサの配合や給与法を工夫したり、
過去の経験や、肥育農家としてのカンに頼りながら飼育法を工夫して、
出来るだけ歩留を上げるとことを常に考えています。