和牛と国産牛の違いについて~和牛の種類

国内で多くの人が和牛と国産牛と同じだと思っています。

日本で生産される牛肉には和牛と国産牛があります。

スーパーなどで売っているのは、実は『和牛』ではなく、『国産牛』であることが多く、そうとは知らずに買っている人も多いということです。

和牛と国産牛の割合

この表は、平成28年7月20日発表「牛個体識別全国データベースの集計結果」(独立行政法人家畜改良センター調べ)によるもので、これによると、

黒毛和種は全体の41%
ホルスタインは43%
交雑種が14%
残りの2%がその他の品種。
となっています。

国内で流通している日本産の牛肉のうち、約6割は国産牛と言われる和牛ではない品種の牛肉です。

「和牛」とは、日本の在来種を元に、交配を繰り返して改良された牛の品種名です、主な品種は次の4品種だけを示しています。

・黒毛和種
・褐毛和種
・日本短角種
・無角和種

このうち黒毛和種が和牛の中では95パーセントを占め、流通量で言うと、全体の2%のその他の品種の中に、褐毛和種、日本短角種、無角和種 が含まれます。

黒毛和種~くろげわしゅ

黒毛和種(JAPANESE BLACK)の主な産地は日本全国です。
肥育頭数は約160万頭
※こやま牧場が肥育している壱岐牛も、もちろん黒毛和種になります。

黒毛和種、和牛といえば黒毛和種。和牛の95%は黒毛和種です。

【特徴】
肉牛としては最高の遺伝的資質を持っていて、筋肉の間に脂肪が交雑する、「サシ」と呼ばれる状態になるのも黒毛和種ならではです。

黒毛和種は美味しさ、肉質の柔らかさ、サシの入り具合など、牛肉のおいしさを意味する基準の全てにおいて優れた品質を持っています。

さらにキメが細かくまろやかで、その生肉の見た目は霜降りと呼ばれるピンクと白の絶妙な美しいマーブル状です。
各県で改良が進み、県や産地の銘柄でブランド牛として販売されています。

全国で肥育されていて、和牛の品種の中で最も多く、和牛の約95%は黒毛和牛種です。約160万頭が飼育されています。

褐毛和種~あかげわしゅ

褐毛和種 (JAPANESE BROWN)
肥育頭数は約 35000頭
主な産地は熊本県や高知県などです。
和牛の中で黒毛和種に次いで2番目に多く肥育されています。
その名の通り体の色が黄褐色で、有角の牛です。

褐毛和種は和牛の中で二番目に多く肥育されています。

【特徴】
肉質は黒毛和種に比べるとやや劣りますが、穏やかな性格で育てやすいという特徴があります。
肉質は赤身が多いため、霜降りの肉が苦手だったり、健康志向の方たちに人気があります。

熊本県産の系列と、高知県産の系列があります。
耐暑性に優れていて、粗飼料利用性も高いのが特徴です。

日本短角種~にほんたんかくしゅ

日本短角種(JAPANESE SHORTHORN)
肥育頭数は 約9000頭
主な産地は岩手県や北海道などでです。
和牛の中で3番目に多く飼育されていますが、その数は全国でも約9000頭です。

日本短角種は短い角と赤い毛が特徴

【特徴】
寒さに強い品種であるという理由から、主に東北や北海道で飼育されています。
もともと東北地方で飼われていた「南部牛」とアメリカのショートホーン種との交配により誕生しました。

丈夫で育ちやすいということもあって、低コストでできる放牧という形で飼育されることが多く、
そのため赤身が多くて肉質がやや粗いという特徴を持ちます。
赤身が好きな健康志向の方に好まれます。

無角和種~むかくわしゅ

無角和種(JAPANESE POLL)
肥育頭数は 約200頭
主な産地は山口県です。

無角和種はその名の通り角がない品種

日本での飼育頭数が一番少ない和牛で、その数は全国でも200頭ほどです。
その名前の通りに角が無く完全に無角で、
毛の色が黒毛和種よりもさらに黒く見えます。
黒毛和種よりもさらに大型で、成長も早く育ちますが、肉質は粗く、風味も黒毛和種よりは劣ると言われています。

『国産牛』とは何か?

和牛と呼ばれるのは、この4品種だけです。
それ以外に日本産の牛でも和牛の四種類以外の牛を国産牛と言います。

スーパーなどで『国産牛』と書いてあるものは、和牛ではなく、国内産の牛肉ということです。

『国産牛』には、
●ホルスタインなどの乳用種
●乳用種と肉用種を交雑させた「F1」と呼ばれる交雑種
●日本で3ヶ月以上肥育された外国産の牛

を国産牛と呼びます。

なので、ホルスタインなどの国産牛と和牛では種類が違います。
姿かたちも違います。
肉質も、霜降り具合も違います。

ホルスタインは、よく牛乳のパックにイラストが描いてるあるような白黒の斑点のある、皆が『牛』と聞いて連想するような姿かたちをしています。

ホルスタイン【乳用種】

ホルスタインは白黒の斑点の、乳用種

生乳は、子牛にミルクを与えるためのものなので、生乳を生産する為には、子牛を生ませることが必要です。


でも、生まれてくる子牛の半分は雄なので、育てても生乳の生産はできません。
この雄の子牛を去勢して肥育したものがホルスタイン種です。搾乳を終えた乳牛も同様に食用として出荷されます。

ホルスタインを育てる目的は『生乳を生産をするため』なので、ホルスタインの肉質は和牛と比べて劣ります。

味はあっさりしていて、脂が少ないために赤身が際立っていて、健康志向の人には好まれています。

好き嫌いがありますが、健康的に、沢山お肉を食べたい人向きです。

価格も安く流通していて『特売用』として売られていたり、ミンチにしてハンバーグにして食べたりするのにも向いています。

国産と表記されるので紛らわしいですが、霜降りの肉質の柔らかい和牛とは別品種です。

乳用種と肉用種を交雑せた交雑種【F1】

ホルスタインの特徴の白い斑点が少し入るのが特徴です。

交雑種とは、一つの品種(黒毛和牛種など)を言うものではなく、肉質向上やコスト削減の目的で交配された結果生産されたものです。

ホルスタインの牝に黒毛和牛種の種をかけて肉質を改良したものが、多く流通しています。

交雑種はF1(エフワン)と呼ばれています。
黒毛和牛種の雄の種がかけ合わさっているので、ホルスタインよりも肉質は優れているといわれています。

雄、牝とも食肉用に肥育されます。
黒毛和種の肉質とホルスタイン種の発育の良さを兼ね備えていて、黒毛和牛ほど霜降りにはなりませんが、価格も和牛と比べると手ごろです。
味も品質のホルスタインと和牛の中間という感じだと思います 。

国産牛と和牛

国産牛と和牛という呼び方が紛らわしくて、混同してしまいそうですが、日本で流通している国内産の食肉には、このような牛の種類が含まれています。

和牛を育てるのは、手の込んだ飼育方法が必要です。

美味しく食べれるように餌も工夫されていて、大量生産も難しく、国産牛と比べて肥育の期間が長く、その分コストもかかってしまいます。

そのため、値段も高価になってしまいますが、国産牛と和牛を食べ比べればその味の差は歴然です。

和牛と国産牛の生産の割合