和牛の値はこうして決まる。枝肉の断面で値段が決まります。

枝肉の断面に一喜一憂する肥育農家

牛は育てている間は、その牛がどれぐらいの値段で売れるのかわかりません。
肥育牛は太らせて肉が多く取れるようにする育て方をするので、こやま牧場で牛を飼っている期間、一年半の間に40万円~50万円の餌代がかかります。

子牛を買う値段と合わせると一頭につき出荷まで110万から140万ぐらいかかります。
人件費や光熱費、壱岐から運ぶ料金とかもかかります。

その牛がいくらで売れるのか、枝肉になるまでわからないので、
牛をと畜してから枝肉になり、その断面を見るたびに一喜一憂します。

セリは、毎回見る必要は無いし、セリに行かない肥育農家も多いのですが、やっぱり気になるし、最後まで見届けたくて福岡のセリ会場に毎週行ってしまいます。

枝肉の断面はそれぞれ違いがあります。

枝肉の断面いろいろ。いろいろな個性があります。

牛の枝肉の断面はそれぞれにみんな違います。
知らない人がパッと見ても違いが分かりにくいかと思いますが、この断面によって値段が全く違います。

肉の格付けは、市場に常駐する格付員(社団法人日本食肉格付協会の職員)によって格付けされます。

格付員は、「畜産物の価格安定等に関する法律」(畜安法)に基づいて格付けし、
結果は枝肉の体表に直接刻印することになっています。

このように枝肉が格付けされたら、枝肉の表面に刻印が押されます。壱岐牛の刻印も押されます。
枝肉の断面の部位

枝肉の断面の名称は上の図のようになっています。
そして、胸最長筋といういわゆるロースの芯を見て枝肉が格付けされます。
前に書いた、お肉の格付けって何?の記事でもお伝えしたのですが、

お肉の格付けって何?の記事はこちら

下の図のようなチャート表があって、一頭づつ肉の格付けがされます。

これが日本格付協会による基準チャート表

脂肪の交雑等級

上の表だけではわかりにくいので、これでどうやって格付けしてるのかもう少し解説します。

まず、脂肪交雑等級から
脂肪交雑等級は (B.M.S.No.=Beef Marbling Standard)ビーフマーブルスタンダードと言います。
ロースの芯の部分にどれぐらい脂肪分があって霜降りになっているかで決まります。

脂肪も細かな脂肪が繊細に入っているのが良いとされます。

脂肪交雑等級がどのように格付けされているのか

脂肪交雑等級
5等級…脂肪交雑がかなり多いもの
格付けチャートの
No.12 、No.11、No.10、 No.9、No.8

4等級…脂肪交雑がやや多いもの
格付けチャートの
No.7、No.6、No.5

3等級…脂肪交雑が標準のもの
格付けチャートの
No.4、No.3

2等級…脂肪交雑がやや少ないもの
格付けチャートの
No.2

1等級…脂肪交雑がほとんどないもの
格付けチャートの
No.1

肉の色沢等級

肉の色沢等級は下記のチャートによって判定されます。
肉の色沢等級 (B.C.S=Beef Color Standard)
ビーフカラースタンダードと言います。
お肉の色の鮮やかさで判定します。

肉の色沢等級を判定するチャート

肉の色沢等級
5等級…肉色及び光沢がかなり良いもの
格付けチャートの

No.3、 No.4、 No.5
4等級… 肉色及び光沢がやや良いもの
格付けチャートの

No.2、No.6 も範囲に含む
3等級… 肉色及び光沢が標準のもの
格付けチャートの
No.1 も範囲に含む

2等級… 肉色及び光沢が標準に準ずるもの
格付けチャートの
No.7 も範囲に含む

1等級… 肉色及び光沢が劣るもの
格付けチャート2等級~5等級以外のも脂肪の色沢と質の等級

脂肪の色沢と質の等級

脂肪の色沢と質は下記のチャートによって判定されます。
脂肪の色沢と質は (B.F.S.=Beef Fat Standard)
ビーフファットスタンダードといいます。

脂肪の色沢と質
5等級…脂肪の色、光沢及び質がかなり良いもの
格付けチャートの
No.1~No.4

4等級… 脂肪の色、光沢及び質がやや良いもの
格付けチャートの
No.1~No.5

3等級…脂肪の色、光沢及び質が標準のもの
格付けチャートの
No.1~No.6

2等級… 脂肪の色、光沢及び質が標準に準ずるもの
格付けチャートの
No.1~No.7

1等級… 脂肪の色、光沢及び質が劣るもの
格付けチャート2等級~5等級以外のもの

肉の締まり、きめの等級

肉の締まり、きめについては、チャートはないですが、
5等級…締まりはかなり良く、きめがかなり細かいもの
4等級…締まりはやや良く、きめがやや 細かいもの
3等級…締まりは及びきめが標準のもの
2等級…締まりは及びきめが標準に準ずるもの
1等級…締まりは及びきめが劣るもの

セリ落とす方も大変です。

こんな感じで判定基準があって、それぞれの枝肉を判定しています。

お肉について調べていると、食肉についてだんだん詳しくなってきました。こんなに細かく判定基準があるんですね。

でも、ほんと、高値が付くと思って牛を出荷しても、枝肉の断面をみたら綺麗なサシが入っていなかったり、期待してなくて出荷したら驚く程の霜降りのいい肉質だったりするので、面白いです。


セリには、大手の精肉屋の方や、一頭買いする焼肉店の方なんかも来られています。


セリをする前に、下見できる時間もあって、皆さん枝肉は下見してから、どれを入札するか入念に下調べをしてからセリ会場に来られてます。

例えば、セリでキロ当たり¥2,500の値が付いたとして、
枝肉が450kgあった場合、
¥2,500×450kgで¥1,125,000
たった30秒もかからないようなセリで ¥1,125,000 とかお金が動くのです。

セリ落とされる方も、じっくり下調べをして買われています。