毎日の牧場の仕事。
農家は、朝日が昇る前に仕事をしてると思われがちですが、こやま牧場の朝は8時からです。
こやま牧場の毎日のタイムスケジュールは、
朝8時、牛に餌やりと、牛舎の掃除。
夕方5時にも、また牛の餌やりと牛舎の掃除。
夜中の2時と5時に牛舎の見回り。
大まかに言うと1日に4回の牛舎に行って、牛の世話をするというルーティーンになっています。
そのほかにも日によって、藁や餌を確保したり、子牛のセリに行ったり、育った牛を出荷しに福岡に行ったり、田んぼもあるので田んぼの手入れや事務仕事など、日々やることはたくさんあります。
牧場の仕事は朝は早くないですが、夜中に2回見回りをしているので、細切れにしか睡眠時間が取れません。
毎日、夜中に見回りをしないと、万一の事故があって朝から牛が冷たくなっていることもあります。例えば、牛の重みによって牛舎には窪みが出来ることがあり、どうかするとその窪みに足がハマって起き上がれなくなる牛が居ます。起き上がれなくなった牛をそのまま放っておくと死んでしまうこともあるのです。
生き物は、こちらの予想が出来ない行動をするので目を離すことが出来ません。とても神経質なので、いつもと違う事をすると、しばらく餌を食べなくなったりもします。
昼、ごろりと横になっている牛が居ますが、牛がのんびりと昼寝をしている状態が一番リラックスしている証拠で、ゆったりとリラックスして、沢山餌が食べれる環境を整えると、肉質がどんどん良くなります。
なので、牛にストレスを与えずリラックスしてもらえるように、細かなことを見逃さず細心の注意を払っています。
餌も牛の状態をみて細かく変えていきます。
雑な扱いをするとすぐに体型や肉質に現れてしまうので気を抜けません。
損害を出さないために
子牛は75万から80万ぐらいで買ってきて、それを1年6ヶ月から1年8ヶ月飼います。その間に餌代が40万から50万かかります。
出荷直前に牛が死んでしまったら、それまでにかかったお金が全て無駄になってしまいます。牛を80万でかってきて出荷前まで育てたとしたら、その買ってきた80万と成牛にするまでの餌代50万で130万の損害。買ってきた子牛を確実に成牛にして出荷できなければ、牧場にとって大打撃です。
牛の細かな変化に目を光らせ、どこか調子が悪くなりそうな牛がいた時は、調子が悪くならないうちに、獣医さんに診てもらったり、細かな対応を心がけています。
人間の生活を牛の生態に合わせています。
牛は動物ですので、牛を人間に合わせるのではなく、牛の生態に人間が合わせることが必要で、肥育農家の生活は牛を中心に回っている感じです。自由はないですが長年の事なので慣れてしまいました。
牛を飼い始めてから、家を空けたり旅行したりは出来なくなってしまいましたが
でもそれは、他所の農家も同じことだと思います。
やはり、周りの牧場を見ても細かな気配りが行き届いた牧場が良い牛を生産しています。生き物相手の仕事は神経を使いますが、それだけ手をかけると答えてくれるのでやり甲斐も大きい仕事です。
大変な事もありますが、牛がすくすくと大きく育ってくれて、食べた人が美味しかった!と言ってくれることは、肥育農家にとってとても嬉しいことなのです。