子牛のセリ市に行って来ました。

6月1日~2日、壱岐家畜市場に子牛のセリに行って来ました。

壱岐では壱岐家畜市場にて2か月に1度子牛のセリ市があります。
市場では1回につき約700頭の牛がセリに出されます。
約700頭の牛は、半分づつ2日間に分けて1頭づつセリにかけられます。

子牛のセリが行われる壱岐家畜市場の正面玄関
順番に並んで、市場の中に入るのをを待つたくさんの牛たち
牛は、いっぱい並んでいます。

繁殖農家と肥育農家

牛を育てている農家は、すべてが肥育農家ではありません。
家畜農家には繁殖農家と肥育農家があります。こやま牧場は主に肥育をしている肥育農家ですが、繁殖を専門にしている繁殖農家もたくさんあります。繁殖農家では、主に種付や出生、哺育、子牛の育成をして、 8か月~10か月になったら、子牛をセリ市場にセリに出します。繁殖農家は牛を数頭しか飼っていないような小さな牧場も多く、壱岐にもたくさんありますが、農家の高齢化が進み子牛の頭数は年々少なくなっています。農家の高齢化は子牛の価格の高騰にも大きく影響があります。

肥育農家は8か月から10か月の子牛を仕入れています。

壱岐家畜市場の様子

肥育農家は牛を出荷すると、育てる牛が居なくなるので定期的に市場に子牛を仕入れに行きます。壱岐家畜市場では2か月に1度セリ市が行われていて、県外からも多くの人が集まります。
壱岐生まれの牛は、A5ランクやA4ランクと言った、高ランクの霜降りの上質な肉質に育ちやすいので、とても人気があって高値で取引されています。

今回のセリは、今までより高値の子牛が多く、1頭当たりの平均額がとても高額でした。子牛の高騰は肥育農家の悩みの種です。最高落札価格は130万円以上の子牛もありました!

子牛の価格を決める基準は、子牛の体重、性別、そして、その父親の系統(これが実はスゴイ大事なんです。)その子牛の母牛が何回出産を経験しているか、繁殖牧場の今までの実績などで決められます。実績を出している繁殖牧場は信頼があり、信頼のある牧場の子牛は価格が高くなります。

賞を取るような良い成牛に育つためには、子牛の時の生育状態や病気の有無によるところも大きく、どんなに大きな成牛に育っても、肉質が悪く霜降りが上手く出ない場合もあります。

なので、このセリの時に慎重に選ばなければいけません。
子牛1頭当たりの金額が大きいので、とても神経を使います。

セリ市の中の様子。正面の電光掲示板に子牛の情報と値段が出ます。

牛の値段を決める要素の1つである家系は、牛は父方の遺伝が強く出ます。
そのため、セリ落とす肥育農家には5代前の父牛の情報まで公示されます。
子牛の父親、そのまた父親、そのまた父親、そのまた父親、そのまた父親の牛がどの牛かという情報までわかるのです。壱岐の畜産市場で取り扱われる素牛は、三元(気高系・糸桜系・但馬敬)の輪番交配を継続しています。

壱岐生まれの牛にも家系の定義があります。

父親牛が霜降りの牛なら、子牛も霜降りになりやすく、人気のある系統の父牛はその精液もとても高値で取引されています。人気の高い系統の値段の高い父親牛の精液を買ってきても、100%受精するわけではないので、繁殖農家も大変です。ランクの高い霜降り和牛の生産を維持するのに、繁殖農家も肥育農家も必死になってそれぞれの技術を磨いています。

どの子牛を選ぶかによってその後の生育に大きくかかわるので、セリ落とすのも神経を使います。

子牛がセリ落とされるのは一瞬です。連れてこられて数十秒ぐらいの(30秒程度でしょうか)わずかな時間に価格が決まり、何十万もの価格で落札されます。セリはとてもシステマティックになっており、セリ用に作られたメイン会場の建物に、待合の棟から次々に子牛が連れてこられ、落札した子牛はすぐに落札者のブースがある牛舎に運び込まれます。

壱岐の畜産市場の航空写真。建物自体がセリ用に作られています。
こやま牧場が落札した牛たち。この時は6頭ですが、今回のセリでは最終的に22頭セリ落としました。

今回のセリ市は子牛の価格が高く、牛一頭の平均価格も80万円以上でした。セリに出された子牛の数は645頭。その中から牝牛のみ、体重や血統を選りすぐり、こやま牧場は22頭セリ落としました。

今回セリ落とした22頭の牛たち。これから約16か月間、成牛になるまで育てて出荷します。